相続時に生じ得る代表的な問題のひとつに「遺留分侵害額請求」があります。
遺留分とは、民法で保護された相続人が最低限受け取ることのできる遺産割合のことです。遺言書や生前贈与によって遺留分を侵害された相続人から、この請求を突然受けて困惑される方も少なくありません。
ここでは遺留分侵害額請求を受けた際に、どのように対応すべきかを分かりやすく解説します。
このページの目次
遺留分侵害額請求とは?
遺留分とは一定の近親者(配偶者、子ども、直系尊属など)が、法律上保障されている最低限の相続財産を取得できる権利をいいます。
「遺留分侵害額請求」とは、遺言や生前贈与により自分の遺留分が満たされていない相続人が、不足する金額を他の相続人等に対して支払い請求することです。
遺留分を請求できる相続人と遺留分の割合
遺留分の権利を持つのは以下の範囲の相続人に限られます。
- 配偶者、子ども
→ 法定相続分の2分の1 - 直系尊属(親など)のみの場合
→ 法定相続分の3分の1 - 兄弟姉妹は遺留分の権利がありません
遺留分侵害額請求を受けたときの対応手順
遺留分侵害額請求を受けた場合、慌てずに対応することが重要です。
請求された側として、次の手順で対処しましょう。
① 請求内容の確認
まず請求書の内容を確認しましょう。遺留分侵害額請求は通常、内容証明郵便によって通知されます。
通知書には請求理由、請求金額、期限などが記載されていますので、内容を丁寧に確認してください。

② 財産内容と遺留分額の精密な計算
次に遺産の総額と各財産の評価額を確認し、請求された遺留分侵害額が適正であるかを計算する必要があります。
財産評価方法が複雑な不動産、株式、事業資産等については特に注意が必要です。

③ 回答期限の遵守
内容証明郵便では一定の回答期限が指定される場合も多くなります。通常は到達日から2週間程度で設定されることが多いです。
期限を過ぎると紛争が深刻化する可能性があるため、期限内に何らかの回答をすることが望ましいと考えます。

④ 弁護士への相談
遺留分の計算方法には専門知識を要し、正確な金額の算出は困難な場合があります。
相続紛争が長期化するリスクを避けるには、早い段階で専門家である弁護士に相談するのが安心です。
遺留分侵害額請求を受けた場合の対処法
具体的な対応方法として、以下の選択肢があります。
① 交渉による解決
遺留分請求を受け入れ、協議して相手側と和解する解決法です。
お互いが納得いく金額で合意できれば、争いが長引くことなく早期解決が可能です。
② 金額・支払い方法について交渉する
遺留分請求額が高額である場合や、一括支払いが困難な場合には、金額の減額や支払期限・分割払いなど、柔軟に支払方法を話し合うことも可能です。
このような調整には弁護士による支援が役立ちます。
③ 裁判手続き(調停・訴訟)で対応する
交渉が難航した場合、家庭裁判所での調停や民事訴訟となります。
裁判所では、各当事者が主張、証拠を提出し、法的公平性に基づき遺留分侵害額が決定されます。
遺留分侵害額請求を受けた場合の注意点
請求を受けたとき、感情的衝突やトラブルをできる限り避けるために、以下の点に注意してください。
- 感情的にならず冷静に話し合う姿勢を持つ。
- 遺産分割や請求金額の妥当性を客観的に判断するため、専門家の意見を求める。
- 財産評価や支払方法で相手方と合意できそうなポイントを見つけ、妥協案を検討する。
弁護士に依頼するメリット
相続人間での話し合いがこじれると、精神的・経済的負担が大きくなります。
弁護士に依頼すると、以下のメリットが得られます。
- 法律専門家として正確な遺留分計算を任せることが可能。
- 複雑な交渉や書面作成を任せ、精神的ストレスを軽減できる。
- 交渉を円滑に進め、対立関係を和らげる工夫が可能。
- 調停や訴訟になった場合も、裁判所への提出書類作成や出席に対応してもらえる。
当事務所の遺留分侵害額請求対応サポート内容
当事務所では、遺留分侵害額請求を受けた方を対象に、適切な対応をサポートいたします。
サポート内容 | 詳細 |
遺留分計算・評価 | 財産評価、遺留分計算、請求の妥当性について詳しく分析・確認します。 |
協議・交渉代理 | 相手方との交渉を代理で行い、冷静な協議を進めます。 |
調停・訴訟代理 | 調停手続き・裁判手続きを一貫して弁護士が担当します。 |
継続的なアドバイス | 解決後も継続的に家族状況や財産管理の相談に対応いたします。 |
まとめ
遺留分侵害額請求を受けた場合は、冷静に対応し早期に弁護士等の専門家にご相談頂くことが重要です。
当事務所は遺留分問題の円満解決に豊富な実績を持つため、まずはお気軽にお問合せください。大切なご家族の円満な相続問題解決を、誠意をもってサポートいたします。