遺留分侵害額請求に関する問題

相続におけるトラブルの一つに「遺留分侵害額請求」が挙げられます。

遺留分侵害額請求に関する問題

遺留分とは、法律により保障されている相続人が一定割合で必ず受け取ることができる最低限の遺産のことです。

しかし、遺言などで遺留分を無視した財産の分配がなされると、遺留分侵害額請求が発生し、相続人間での問題に発展することがあります。

今回は、この遺留分侵害額請求について概要や問題点、請求方法、解決策などを詳しく解説します。

遺留分とは?

遺留分(民法1042条)とは、被相続人の財産の内、被相続人による自由な処分(贈与、遺贈、相続させる旨の遺言等)に制限が加えられている部分のことをいいます。端的に説明すると、遺留分は、法律上保障されている最低限の取り分という表現になります。

その為、遺留分を有する一定の相続人(遺留分権利者)は、遺言や贈与により、被相続人の財産が処分され、自身に分割される相続財産がなくなったとしても、遺留分の限度で、その侵害額相当額を請求することができます。

つまり、遺言や贈与で特定の人に遺産を集中させることがあっても、一定の相続人(配偶者、子ども、父母など)は自らの権利として最低限の取り分相当額を請求することができます。

主な遺留分割合

  • 相続人が配偶者または子供の場合
    法定相続分の1/2
  • 相続人が父母(直系尊属)のみの場合
    法定相続分の1/3
  • 兄弟姉妹に遺留分はありません。

遺留分侵害額請求とは?

もし遺言書や贈与によって遺産が特定の相続人または第三者に偏って与えられ、自分の遺留分が確保されていない場合、不足する遺留分相当の金額を請求することができます。これを遺留分侵害額請求と言います。

従来は「遺留分減殺請求」という表現が使われていましたが、2019年7月1日から法改正により「遺留分侵害額請求」と名称が変更されました。

また、請求できるのは「金銭」に限られ、以前のような現物での返還要求は基本的にできなくなりました。

遺留分侵害額請求の具体例と問題点

次のようなケースが遺留分侵害額請求で問題となり得る典型的な例です。

  • 遺言で特定の子どもだけに不動産や株式など財産のほぼ全てを相続させるという内容が記載されている場合。
  • 生前贈与によって一人だけに大きな財産を渡し、ほかの相続人にほとんど財産が残らなかった場合。
  • 再婚家庭において後妻やその子どもに財産を渡し、前妻の子どもが不利益な立場になった場合など、家族関係が複雑な場合。

実際の財産配分が故人の意思によって決められていたとしても、法律により相続人の最低限の権利が守られるため、遺留分侵害額請求が起きる可能性があり、相続トラブルになるケースは少なくありません。

遺留分侵害額請求を行う方法と注意点

請求方法

  • 請求するには、相続の開始(相続があったこと)と遺留分を侵害する遺贈や贈与があったことを知ってから1年以内であること。
  • また、相続開始から10年を経過すると時効となり、請求権が消滅します。
  • 請求する場合、できる限り書面で請求内容をはっきり通知することが大切です(内容証明郵便など)。

注意すべき問題

  • 請求する際には、具体的な財産評価額、遺留分侵害額の計算など複雑な手続が必要です。専門家の支援が非常に重要です。
  • 家族間の感情的な摩擦や問題が深刻化しないよう、配慮や話し合いも必要となります。

早期解決に弁護士へのご相談が安心な理由

遺留分侵害額請求は法律上確実に定められた権利ですが、手続きが煩雑であり相続人間の対話が感情的に難しいことも多々あります。このような状況では、当事者同士だけで解決しようとしてもなかなか合意できず、感情的な問題が長期化してしまうリスクがあります。

弁護士へ相談することで次のようなメリットがあります。

  • 複雑な遺留分額の計算や法律的手続きをプロがサポートします。
  • 精神的負担を軽減し、不必要な感情的対立を防ぐために、第三者の視点で冷静な話し合いを進められます。
  • 交渉が難航した場合、法的手続き(裁判手続き)まで含めて一貫して支援できるため、安心してお任せいただけます。

当事務所の遺留分侵害額請求サポート

当事務所では下記のようなサポートを通じ、依頼者の遺留分侵害額請求を円滑に進めます。

サポート内容 具体的サービス内容
法律相談・説明 遺留分制度の説明、具体的な遺留分算定方法の説明を丁寧に行います。
侵害額の計算・調査 財産評価や侵害額を正確に計算し、請求の根拠を明確にします。
相手方との交渉 感情的な対立を回避し、依頼者の利益を最大限守りながら、話し合いを進めます。
裁判手続きのサポート 交渉が難航した場合は、調停や訴訟手続きまで責任を持って対応します。

まとめ

遺留分侵害額請求は複雑で感情的な対立を生みやすいため、早期に弁護士に相談して円満な解決を図ることが重要です。相続人同士の円滑な関係を保ちながら、公正な相続手続きを実現するために、ぜひ当事務所へご相談ください。

当事務所では法律の専門家として依頼者の皆さまとそのご家族をしっかりとサポートいたします。

keyboard_arrow_up

0471971166 問い合わせバナー 事務所紹介