遺言書の検認手続きとは?必要な準備と注意点

ご家族が亡くなられた際、故人(被相続人)が遺言書を残していることがあります。

遺言書には相続人間でのトラブルを未然に防ぎ、故人の想いを伝える大切な役割がありますが、その種類によっては「検認」という手続きが必要となる場合があります。

ここでは、遺言書の検認手続きについて、具体的な内容や手順、準備すべきものや注意点を分かりやすく解説いたします。

遺言書の検認手続きとは?

検認手続きとは、家庭裁判所が遺言書の存在を確認し、その内容を明確にするための手続きです。検認自体は遺言の有効か無効かを判断するものではありませんが、遺言が偽造や変造されるのを防止する役割を果たします。

民法1004条3項は、「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。」と規定しています。

そのため、遺言書の保管者、又は遺言書の保管者がない場合に遺言書を発見した相続人は、相続の開始後遅滞なく、家庭裁判所に検認の手続きを請求する必要があります。

以下の種類の遺言書では必ず検認が必要となります。

  • 自筆証書遺言(自分で手書きした遺言)
    ※法務局で保管されているものを除く
  • 秘密証書遺言

遺言書の種類ごとに検認が必要か否か

遺言書の種類 検認の要否
自筆証書遺言(自宅保管) 必要
自筆証書遺言(法務局保管制度利用) 不要
公正証書遺言(公証役場で作成) 不要
秘密証書遺言 必要

遺言書の検認手続きの具体的な流れ

検認手続きは、主に下記のような流れで進めます。

① 遺言書を発見したら家庭裁判所に連絡

遺言書を発見した場合は、速やかに遺言者(故人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ検認申立てを行います。遺言書を封印されている場合、自分で開封してはいけません。

開封してしまうと過料(5万円以下)が科される可能性があるため注意が必要です。

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② 申立てに必要な書類を準備する

家庭裁判所に検認の申立てをする際には、以下の書類を提出します。

  • 検認申立書(書式は裁判所のウェブサイトで入手可能)
  • 遺言書の原本(封印されている場合はそのまま提出)
  • 遺言者の死亡が確認できる戸籍謄本(除籍謄本)
  • 全相続人の戸籍謄本(申立本人を含む)
  • 申立人本人であることを証明するための住民票
  • 収入印紙(検認申立費用として800円分)
  • 裁判所からの通知に必要な郵便切手(各裁判所の指定によりますが、1,000円〜2,000円程度)

これら全ての書類を揃えることで、円滑に検認手続きを進めることができます。

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③ 家庭裁判所による検認の期日と通知

家庭裁判所は申し立てを受け取ると、遺言書の検認日時を設定し、相続人全員に通知します。

その際、申立人および他の相続人は検認の手続きに立ち会うことが可能ですが、出席は義務ではありません。

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④ 検認手続きの実施と検認調書の交付

検認の手続きでは、裁判官が相続人立ち会いのもと遺言書を確認し、その内容を調書に記録します。

検認が終了すると「検認済証明書付きの遺言書」と「検認調書謄本」の交付を受けることが可能です。その後の遺産分割協議や名義変更手続きなどで、これらの書類が必要になります。

検認手続きに関する注意点・ポイント

遺言書の検認手続きを進める上で注意すべきポイントをご紹介します。

  • 遺言書の存在を知りながら手続きを怠った場合、罰則や相続人間のトラブルになる恐れがあります。速やかな手続きが重要です。
  • 検認を受けずに金融機関や法務局へ遺言書を提出しても受け付けられません。
  • 遺言書が封印されている場合、不用意に開封しないよう注意しましょう。
  • 検認の過程で、遺言書の有効性や内容そのものについて家庭裁判所が判断を示すわけではありません。遺言の有効性に争いがある場合は別途裁判が必要です。

遺言の検認手続きを弁護士に依頼するメリット

遺言書の検認手続きは、複雑な書類収集や法的判断が伴い、相続人には負担となりうる場合があります。そのため、弁護士のような専門家に手続きを依頼される方が多いです。

  • 必要な書類を正確かつ迅速に収集・準備できる。
  • 相続人間のトラブルを未然に防ぐことが可能。
  • その後の遺産分割協議や名義変更手続きまでトータルサポートできる。

まとめ

遺言書の検認手続きは、遺言の種別により必要となる手続きです。事前の準備を怠ると余計なトラブルが起きる可能性もあります。遺言書を見つけた際には速やかに家庭裁判所に相談し、必要な手続きを進めましょう。

当事務所では、遺言書の検認手続きから遺言執行・遺産分割協議に至るまで一貫した相続サポートを行っています。検認手続きに不安をお持ちの場合やお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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